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切り崩されたリベラルな秩序
―― 格差を是正し、社会的連帯を再生するには

ジェフ・D・コルガン ブラウン大学准教授(政治学)
ロバート・O・コヘイン プリンストン大学教授(国際関係論)

The Liberal Order is Rigged
―― Fix it now or watch it wither

Jeff D. Colgan ブラウン大学ワトソン研究所准教授(政治学・国際関係論)。専門は国際安全保障の政治経済学。最近の著書にPetro-Aggression: When Oil Causes Warがある。フォーリン・アフェアーズ・リポートには「リベラリズムを脅かす「他者化」メカニズム―― 2017年をとらえるもう一つの視点」(2017年2月号掲載)を発表している。
Robert O. Keohane アメリカの政治学者でプリンストン大学教授。フォーリン・アフェアーズ・リポートには、「アメリカの衰退を考える ―― ネオリベラル対ネオコンサーバティブ」(2013年1月号掲載)などを発表している。

2017年5月号掲載論文

欧米におけるポピュリズムの台頭は、リベラルな民主社会の社会契約が破綻していることを物語っている。経済格差が人々を異なる生活環境で暮らす集団へ分裂させ、社会の連帯感そのものが損なわれている。中間層や労働者階級を犠牲にしてグローバル化の恩恵を富裕層が独占する状況が続けば、米経済が依存するグローバル・サプライチェーンや移民受入への政治的支援は今後さらに損なわれていくだろう。ポピュリズムは、タフさとナショナリズム、さらには移民排斥論を基盤とする、人受けのするはっきりとしたイデオロギーをもっている。開放的なリベラルな秩序の支持者たちがこれに対抗していくには、同様に明快で、一貫性のある代替イデオロギーを示し、労働者たちが切実に感じている問題を無視するのではなく、それに対応していく必要がある。

  • なぜリベラルな秩序は力を失ったか
  • 破綻した社会契約
  • 国際政治とポピュリズム
  • システムをいかに改革するか
  • 埋め込まれたリベラリズムの再生を
  • 国家アイデンティティと移民

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