専門的見解に対する不信と反発
―― 根拠無き意見への追随が民主主義を脅かす
How America Lost Faith in Expertise ―― And Why That’s a Giant Problem
2017年4月号 掲載論文
専門家は、自分たちが民主社会に仕える身であることを常に忘れてはならない。しかし、民主社会の主人である市民も国の運営に関与し続けるのに必要な美徳・良識を身に付ける必要がある。専門知識をもたない市民は専門家なしでは事をなし得ないのだから、エリートへの憎しみを捨ててこの現実を受け入れる必要がある。同様に専門家も市民の声を相手にしないのではなく、それに耳を傾け、自分たちのアドバイスが常に取り入れられるとは限らないことを受け入れなければならない。現状では、システムを一つに束ねてきた専門家と市民の絆が危険なまでに揺るがされている。ある種の信頼と相互尊重を取り戻さない限り、世論における議論は、根拠なき意見への追随によって汚染されてしまう。そのような環境では、民主主義の終わりを含む、あらゆるものが現実となっても不思議はない。
- 専門的見解の死
- 反知性主義と反エリート主義
- 専門家とは
- ダニング=クルーガー効果
- 「確証バイアス」と陰謀論
- 衆愚政治へようこそ
- 専門知識と民主主義
- 民主主義の前提とは
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