ブレグジット後のヨーロッパ
―― 統合の本来の目的に立ち返るには
Europe After Brexit ―― A Less Perfect Union
2017年3月号掲載論文
欧州統合プロジェクトの設計者たちが欧州連合(EU)の現状をみれば、さぞや落胆するだろう。1950年代にエリートたちがヨーロッパ経済共同体(EEC)を創設したのは「第二次世界大戦後のヨーロッパで国民国家システムを再生するためだった」からだ。当時は、主権国家は段階的に市場を開放するが、国内経済が悪化したときに対処できるように、国家に一定の自己裁量権を残すというコンセンサスが存在した。だが1980年代半ばにヨーロッパのエリートたちは、統合によって国民国家システムを強化するのではなく、新しい超国家的統治システムの構築へとギアを入れ替えた。そしていまやイギリスがEUからの離脱を選んだことで、EU史上最悪の政治危機が引き起こされつつある。欧州の指導者たちは、統合の目的を新たに描き、統合プロセスの管理メカニズムを再確立する必要があるだろう。
- ブレグジットのバランスシート
- ヨーロッパ危機のルーツ
- 超国家機構への道
- 大いなる実験
- 統合路線の継続
- 東方拡大と移民危機
- 統合の管理権を取り戻す
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