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ドゥテルテの対中・対米戦略のバランス
―― 穏やかな対中アプローチの真意

ジェシカ・リョウ ノースカロライナ州立大学助教

The Filipino Fox ―― There's a Method to Duterte's Madness

Jessica C.Liao ノースカロライナ州立大学助教(政治学)で専門は中国の政治・経済。最近の著書にDevelopmental States and Business Activism (London: Palgrave Macmillan, November 2015)がある。

2017年3月号掲載論文

長年の同盟国であるアメリカと「決別し、中国と手を組む」つもりだというドゥテルテ発言は世界を驚かせたが、この発言は「インフラ上の深刻な問題を改善することで、貧困層の生活を改善していく」という彼の選挙公約と密接に関連している。アメリカはドゥテルテのインフラ計画に資金提供する資源も政治的意思ももっていないが、一方の中国は潤沢な資金だけでなく、アジアインフラ投資銀行(AIIB)を擁している。すでにドゥテルテは1件のAIIBからの融資を成立させ、中国との間で総額240億ドルに達する13件の二国間融資をまとめている。問題は、親米国フィリピンでの対中感情がよくないこと、そして、このやり方が必要以上にアメリカを刺激していることだ。ドゥテルテが中国資本の一部を取り込むチャンスがあるのは、国内で彼の支持率が高い間だけだろうし、ワシントンは、選挙公約を実現する上で必要なドゥテルテの(中国を念頭においた)経済戦略をもっと許容すべきだろう。

  • アメリカとの決別?
  • 米中との微妙なバランス
  • 重要なのは経済だ
  • 米中の狭間で
  • 米新政権とフィリピン

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