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アメリカ社会を分裂させた終末論
―― ドナルド・トランプに政治的に向き合うには

アリソン・マックイーン スタンフォード大学准教授(政治学)

Apocalyptic Thought in the Age of Trump ―― The Dangers of a Doom and Gloom Mindset

Alison McQueen スタンフォード大学准教授(政治学)。近くPolitical Realism in Apocalyptic Timesを出版予定。

2017年1月号掲載論文

トランプがキャンペーンで用いてきた終末論にとらわれ続ければ、政治への参加を断念してもはや打つ手はないと諦念を抱くか、世界を善と悪で区別し、自分とは意見の違うものを中傷し、自らが信じる最終的な正義を暴力に訴えてでも実現しようとするようになる。こうしたビジョンがかつてヨーロッパで宗教戦争を引き起こし、現在はイスラム国(ISIS)を戦闘へ駆り立てている。これと似たレベルの二極化が今回の米大統領選挙キャンペーンによってアメリカ社会でも生じている。極右のスティーブン・バノンが首席戦略官・上級顧問に指名されたことで、アメリカ人は人種や宗教的な憎しみを公言するライセンスを得たと感じているかもしれない。われわれは心理枠組みを変えなければならない。トランプの勝利によって終末の世界に向かうと考えてはならない。トランプに反対する勢力は、現状を終末論ではなく、悲劇としてとらえ、マックス・ウェーバーが言うように「あらゆる希望が潰えたときにも、勇気を失わないしっかりとした心をもたなければならない」。・・・

  • 憎しみのライセンス
  • 終末論がもたらす政治的弊害
  • 政治参加を続けるには

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