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なぜイランはロシアに基地使用を許したか
―― 歴史的不信と中東新秩序への野望

モフセン・ミラニ
南フロリダ大学教授(政治学)

Iran and Russia`s Uncomfortable Alliance

Mohsen Milani
南フロリダ大学教授(政治学)。戦略外交研究所のエグゼクティブ・ディレクター。フォーリン・アフェアーズに発表した論文には、「イスラム国の台頭で変化する米・イラン関係――デタントのチャンスを生かせるか(2014年10月号)」、「イランとの関係改善は実現するか――核協議とシリア危機の新ファクターとは(2013年10月号)」などがある。

2016年10月号掲載論文

第一次世界大戦後にイギリスとフランスが描いた中東の政治秩序はいまや崩壊しつつあり、ロシアもイランも新しい秩序における自国の居場所に思いを巡らしている。プーチンにとって、ロシアを中東のプレイヤーとして再確立することは、彼の悲願であるグローバルな大国の座を取り戻す上でもきわめて重要な一里塚だ。一方、イランはシリアの将来を決める現在の内戦を、今後の中東秩序を左右する重要な試金石とみなしている。テヘランは、ロシアとの協調は中東での影響力を強化する効果的な手段になると考えているようだ。こうした思惑ゆえに、ロシアに大きな不信感をもつイランも、ロシア軍に国内基地の利用を認めるという驚くべき決定を下した。ロシアとのより緊密な軍事・安全保障関係を築くことで、イランはアメリカの中東政策に対する保険策をとろうとしているとみなすこともできる。・・・

  • 不可解な同盟
  • モスクワの思惑
  • テヘランの対ロ不信
  • シリア紛争とイランの立場
  • シリアにおけるロシアの利益
  • ワシントンはどう動くべきか

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