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テリーザ・メイのブレグジット戦略
―― 交渉パートナーとの妥協点をいかに見出すか

ティム・キュレン オックスフォード大学ビジネススクール アソシエートフェロー

May`s Brexit Plan

Tim Cullen オックスフォード大学ビジネススクール アソシエートフェロー

2016年10月号掲載論文

テリーザ・メイはすでに、イギリスの全般的離脱アプローチをまとめるまでは、リスボン条約の50条を発動して離脱をEUに通知することはないと明言し、今後の交渉を踏まえて、イギリスにいるヨーロッパ人が離脱後もイギリスで暮らせるかどうかについても確約を与えるのを避けている。一方、当初は強硬だったメルケルやオランドを始めとするヨーロッパの指導者たちも、自国の政治状況に配慮して、交渉時期の先送り容認に向けて態度を軟化させている。しかし、困難なタスクが待ち受けていることに変わりはない。交渉を担当できる人材が不足しているだけでなく、スコットランドなどの分離独立問題も抱えている。重要なポイントは交渉相手となる諸国が、「ヨーロッパ・プロジェクト」へのコミットメントよりも、自国の政治利益を重視していることだ。そこから交渉の見取り図を描かなければならない。

  • 国民投票後の国内政治環境
  • 交渉上のハードルとは
  • 交渉の要諦

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