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難民そしてギリシャの悲劇
―― EUに放置されたギリシャと
難民たち

ソニア・シャー 調査ジャーナリスト

Refugees and Greece's Health Issue

Sonia Shah アメリカの調査ジャーナリストで、政治、人権、科学などをカバーしている。最近の著作にPandemic: Tracking Contagions from Cholera to Ebola and Beyondがある。

2016年9月号掲載論文

欧州連合(EU)の難民対策は、難民を保護し、彼らの人権を守るためではなく、難民危機を前にヨーロッパで台頭する排外主義や極右勢力への対策として考案されている。当然、「できるものなら見て見ぬふりをしたいとEUが考える難民」の権利を支えることにギリシャ政府が政治的インセンティブを見出すはずはない。しかも、ギリシャは2009年に財政危機に陥って以降、厳格な緊縮財政を強いられ、ギリシャ市民そのものが非常に困難な生活を強いられている。一方、難民たちは祖国で経験した恐怖やトラウマに加えて、「(避難先のギリシャでも)自分たちは見捨てられている」と絶望している。実際、難民の自殺や急性の精神疾患が急増している。しかも、ギリシャにいる難民が健康を維持できるかは、低賃金で、ただでさえオーバーワーク気味のギリシャの医師たちが、言葉も通じない患者に時間を費やしてボランティアで治療をするかどうかにかかっている。

  • 劣悪な環境と精神疾患
  • 放置された難民
  • ギリシャの窮状
  • なぜ難民は放置されたか

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