ドナルド・トランプの黙示録
―― アメリカ政治思想における終末思想
The Apocalypse in U.S. Political Thought ―― Trump Isn't the First—And He Won't be the Last
2016年9月号掲載論文
「もっとタフにスマートになり、早く行動を起こさなければ、この国は崩壊する」。トランプはこうした黙示録的メッセージを繰り返し、「自分なら、アメリカがハルマゲドンに向かっていくのを回避できるし、アメリカを再び偉大な国にできる」と主張してきた。意外にも、こうした終末論を口にするアメリカの政治家はトランプが初めてではない。リンカーンからジョージ・W・ブッシュまで、終末論的レトリックはアメリカの政治で何度も用いられてきた。実際、憂鬱な予測を示すことで、国難に市民を立ち向かわせようとした政治家は数多くいる。アメリカにおける黙示録的レトリックの伝統は、民衆を分断するのではなく、団結させることを意図してきた。トランプに特有なのは、黙示録的な予測に危険な誇大妄想をまとわせ、分断と排除を求めていることだ。
- 「アメリカを救えるのは自分だけだ」
- アメリカ政治における「苦難とあがない」
- 黙示録的ビジョンがアピールする理由
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