アメリカはグローバルな軍事関与を控えよ
―― オフショアバランシングで米軍の撤退を
The Case for Offshore Balancing
2016年7月号掲載論文
イラク、アフガニスタン戦争など、冷戦後のグローバルエンゲージメント戦略が米外交を破綻させたことが誰の目にも明らかである以上、いまやアメリカは「リベラルな覇権」戦略から、オフショアバランシング戦略へのシフトを試みるべきだろう。オフショアバランシング戦略では、アメリカの血と財産を投入しても守る価値のある地域はヨーロッパ、北東アジア、そしてペルシャ湾岸地域に限定され、その戦略目的はこれらの地域で地域覇権国が出現するのを阻止することにある。さらに、その試みの矢面にアメリカが立つのではなく、覇権国の出現を阻止することに大きなインセンティブをもつ地域諸国に防衛上の重責を担わせることを特徴とする。ヨーロッパにも、ペルシャ湾岸地域にも潜在的覇権国が登場するとは考えにくく、米軍を駐留させ続ける合理性はない。一方、北東アジアについては、地域諸国の試みをうまく調整し、背後から支える必要がある。・・・・
- 「リベラルな覇権」からオフショアバランシングへ
- 北東アジア、ヨーロッパ、ペルシャ湾岸
- どのように機能するのか
- エンゲージメント戦略の悪夢
- 関与すべきか、関与を控えるべきか
- 民主国家同士は戦争をしない?
- 選択的エンゲージメント
- アジアには関与し、欧州と湾岸からは撤退を
- オフショアバランシングの利点
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