CFRブリーフィング
ブレグジットの明暗を考える
―― 三つの見方
Weighing the Consequence of Brexit
web限定掲載論文
「ブレグジット」によって、ロンドンの金融パワーの優位が疑問視されるようになる。これまでロンドンは、「ヨーロッパ金融への玄関口」として機能してきた。外国の金融機関にとって、EUのメンバーであるイギリスのロンドンに拠点を設ければ、ヨーロッパ各国での規制や許認可に煩わされることなく、サービスを展開できた。このロンドンの機能は、EU金融市場の「シングルパスポート」として知られ、これが、世界の金融センター内でのロンドンの優位を支えてきた。(R・カーン)
イギリスのように、ユーロを導入していない他のEUメンバー国は、イギリスが離脱すれば、EUを快適な空間とは感じられなくなる。「ユーロ圏諸国は自分たちの優先課題を、ユーロを導入していないEUメンバー国に強要すべきではないとする」イギリスの主張によってこれまで救われてきたデンマークのような国は、今後、少数派として弱い立場に追い込まれる。(S・マラビー)
現状は維持不可能だ。ユーロが生き残るには、メンバー国間の財政政策のコンバージェンスと政治統合の深化が必要になる。イギリスがEUに残留すれば、こうした課題をめぐって、EUの主要グループの端に位置する(反対)少数派として非常に無様な状況に追い込まれる。・・・もはや、EUはイギリスがそのメンバーであることを望まないクラブに変化してしまっている。(R・ブートル)
- ブレグジットのリスクは大きすぎる / ロバート・カーン
- 脱退ではなく、より踏み込んだ国際協調を / セバスチャン・マラビー
- もはや脱退しか道はない / ロジャー・ブートル
<ブレグジットのリスクは大きすぎる ロバート・カーン / 米外交問題評議会シニアフェロー>
EU脱退をめぐって6月23日に実施されるイギリスの国民投票は、イギリスだけでなく、広く世界にとって大きな危険に満ちたものになるのは避けられないだろう。
「ブレグジット」となれば、イギリスの金融市場だけでなく、国際金融市場を揺るがすことになる。投資家は弱いポンド、経済成長率の低下、イギリスからの資金流出という事態に対処しなければならなくなる。・・・
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