大西洋同盟の未来
―― トランプが投げかけた波紋
Standing Up for NATO
2016年5月号掲載論文
「われわれは(NATOメンバー国を)守っている。彼ら(ヨーロッパ)はあらゆる軍事的保護を受けているが、アメリカ、そして納税者であるあなたたち(アメリカ市民)に、法外な資金を負担させている。これは問題がある。過去の分を含めて、(ヨーロッパのメンバー国は)資金を完済するか、同盟から出て行くべきだ。それがNATOの解体を意味するのなら、それはそれでかまわない」。予備選挙の共和党大統領候補、ドナルド・トランプはNATO批判を強めている。NATO事務総長、ヤンス・ストルテンベルグは、これに対する直接的なコメントは避けつつも、ヨーロッパ側が防衛予算を増やす必要があることを認めた上で、「より危険な世界に対処していく答は、これまで大きな成功を収めた強靱な同盟関係(NATO)をダウングレイドすることではなく、同盟関係をもっと強化することだ」と主張する。・・・(聞き手は、フォーリン・アフェアーズ誌のデュピティ・マネージングエディター、ジャスティン・ヴォグト)
- NATOと米大統領選挙 <部分公開>
- ロシアとバルト諸国
- 難民危機対策
<NATOと米大統領選挙>
―― アメリカの政治論争で、NATO(北大西洋条約機構)が争点に取り上げられるようになって、すでに長い時間が経過しているが、今回の米大統領予備選挙でも、共和党のドナルド・トランプがNATOを争点に取り上げている。トランプは「NATOは無用の長物で、大西洋同盟関係はアメリカにとってよい取引ではない」と主張している。数日前にも、トランプはウィスコンシン州の集会で次のように批判している。「われわれは(NATOメンバー国を)守っている。彼らはあらゆる軍事的保護を受けているが、アメリカ、そして納税者であるあなたに法外な資金を負担させている。これは問題がある。過去の分を含めて、(ヨーロッパのメンバー国は)資金を完済するか、同盟から出て行くべきだ。それがNATOの解体を意味するのなら、それはそれでかまわない」。こうした批判にあなたはどう答えるだろうか。
ストルテンベルグ アメリカの大統領選挙キャンペーンについても、NATOメンバー国における選挙についても、私はコメントすべき立場にはない。誰が次期米大統領になるかを決めるのは、アメリカの有権者だ。私が議論に参加することはあり得ない。
とはいえ、われわれがより危険な国際環境に直面しているだけに、NATOはわれわれの安全保障にとってこれまで以上に重要で不可欠の存在になっている。米欧の連帯がかつてなく重要になっていることを指摘したい。
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