中国国有企業改革の実態
―― 切り捨てられる企業と温存される
企業
The Costs of Reform
―― China Shakes Up Its State-Owned Enterprises
2016年5月号掲載論文
過剰生産能力を減らすために、北京は鉄鋼生産量を年間1億―1億5000万トン削減すると表明し、2月には鉄鋼部門において約50万人の雇用を削減する計画を発表している。石炭産業における生産量と雇用の削減はさらに熾烈なものになるだろう。そして北京が過剰生産能力を削減する主要なツールとして、中国の国有企業(SOE)改革を利用していくのは明らかだろう。損失を計上している部門については、民営化を通じて政府による監督を緩和するか、工場閉鎖と労働者の解雇が行われるだろう。中国のSOE改革とは、一般にイメージされるのとは違って、赤字国有企業を売却、清算するだけで、北京は利益をあげている国有企業についてはこれまでの関係を維持していくつもりだ。「政治的に正しい」立場をとる国有企業のエグゼクティブと最高経営責任者は法外な富を得て、「政治的に間違った」立場をとる者たちは政治腐敗の罪に問われ、失脚することになるだろう。
- 国有企業改革の実態(一部公開)
- 目的は民営化か、過剰生産能力の削減か
- 北京が思い描くクローニー・キャピタリズム
<国有企業改革の実態>
2015年に中国の工場は8億トン以上の鉄鋼を生産している。これはアメリカの鉄鋼生産量のほぼ8倍で、1995年の全世界における生産量に匹敵する。どう考えても、この数字は中国が過剰生産能力を抱え込んでいることを意味する。中国の鉄鋼大手は、過剰生産のはけ口として、外国市場への輸出に注目しているが、低価格化と国内需要の低迷のため、中国企業は利益をいかに確保するかに苦しみ、2015年は約100億ドルの損失を計上した。過剰生産能力問題に苦しんでいるのは中国の鉄鋼部門だけではない。石炭、アルミニウム、銅線等の他の工業製品部門も過剰生産能力を抱え込んでいる。
北京はすでに工業部門を合理化する必要性を理解している。1月に、鉄鋼生産量を年間1億―1億5000万トン削減すると表明し、2月には鉄鋼部門において約50万人の雇用を削減する計画を発表した。石炭産業における生産量と雇用の削減はさらに厳格なものになると考えられる。
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