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グローバル化したイスラム国
―― 増殖する関連組織の脅威

ダニエル・バイマン ジョージタウン大学教授

ISIS Goes Global

Daniel Byman ジョージタウン大学外交大学院教授で、ブルッキングス研究所中東研究センターの研究ディレクター。最近の著作に、Al Qaeda, the Islamic State, and the Global Jihadist Movement: What Everyone Needs to Knowがある。

2016年4月号掲載論文

欧米諸国が、国内の若者たちがイラクやシリアへ向かうことを心配していればよかった時代はすでに終わっている。ジハード主義者たちが、中東だけでなく、中東を越えたイスラム国のさまざまな「プロビンス」を往き来するようになる事態を警戒せざるを得ない状況になりつつある。「プロビンス」を形づくる関連組織の存在は、イスラム国の活動範囲を広げる一方で、地域紛争における関連組織の脅威をさらに高めており、いずれ関連集団による対欧米テロが起きる恐れもある。だが、われわれは「コア・イスラム国」の指導者と、遠く離れた地域で活動するプロビンスの間で生じる緊張をうまく利用できる。適切な政策をとれば、アメリカとその同盟国は「プロビンス」と「コア・イスラム国」に大きなダメージを与え、相互利益に基づく彼らの関係を破壊的な関係へと変化させることができるだろう。

  • 増殖する関連組織
  • 関連組織はどこにいるか
  • 関連集団はなぜ忠誠を誓ったか
  • 拡大するイスラム国の拠点
  • コアとプロビンスの微妙な関係
  • 新しい包括的戦略を

<増殖する関連組織>

2015年10月、シナイ半島上空でロシアの旅客機が墜落する事件が起き、イスラム国(ISIS)が爆破テロの犯行声明を出した。その後、パリとカリフォルニア州サンバーナーディーノでも忌まわしいテロが起きた。しかし、今後を予兆するという意味では、(イスラム国関連組織による)シナイ半島上空での旅客機爆破テロのほうが重要な事件かもしれない。

欧米の安全保障担当官たちは、イラクやシリアから帰国した自国市民がテロを決行すること、あるいは一匹オオカミが国内でテロを決行することをこれまで警戒してきた。しかし、224名が犠牲になったロシア旅客機の爆破は異なるタイプのテロだった。一匹オオカミでも、イスラム国でもなく、それは、イスラム国のカリフを自称するアブバクル・バグダディに忠誠を誓う、イスラム国関連組織による犯行だった。・・・

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