CFR Events
激化する宗派対立と中東の混乱
Tensions between Saudi Arabia and Iran
2016年2月号掲載論文
「この10年間でイランは、イラク、レバントなど、かつてはプレゼンスをもっていなかった地域へと影響力を拡大している」とサウジはみている。一方イランは、「包囲されたサウジは、最近のシーア派指導者の処刑を含めて、自滅的な行動をとっている」とみなし、「これはリヤドが国内的に追い込まれている証拠だ」と考えている。もっとも、サウジでシーア派指導者が処刑されたことにイランが反発し宗派対立が激化することは、サウジにとっては織り込み済みだった。宗派対立の緊張を高め、スンニ派の立場を擁護していくとアピールし、サウジにおける支配体制を正当化できるとすれば、それはリヤドの利益になるからだ。さらに、今回の事件を通じてサウジが送ろうとしたメッセージの一つはワシントンを意識していた。すでに「アメリカはサウジの立場に反対している」とリヤドが判断しており、メッセージの目的は「サウジかイランか、どちらかを選ぶように」とワシントンに再考を迫ることにあった。・・・シリアやイエメンでの地域紛争が続く限り、基層部分に宗派対立という構図をもつサウジとイランの地政学的なライバル抗争は今後も続くだろう。・・・・
- 宗派対立と中東 <部分公開>
- シリア紛争と宗派対立
- サウジの内的ダイナミクス
<宗派対立と中東>
シュメーマン 2016年1月、リヤドはテロに関与したとして、47人の人物を処刑した。その多くは(スンニ派の)アルカイダ・メンバーだったが、シーア派の有力な宗教指導者、ニムル師も処刑された。これに憤ったイランの群衆はテヘランのサウジアラビア大使館を襲撃し、サウジはイランとの外交関係を断絶し、サウジのスンニ派系同盟諸国もこれに続いた。一方で、アメリカとその同盟国は、危機を安定化させようと試みている。
フィリップ、リヤドは(サウジの王室に批判的だった)シーア派の宗教指導者を処刑し、イランとの関係悪化も辞さない行動をみせたが、これによってどのようなメッセージを送ろうとしているのだろうか。サウジは今後中東でどのような役割を果たすつもりなのか。・・・
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