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プーチンの中東地政学戦略
―― ロシアを新戦略へ駆り立てた反発と不満

アンジェラ・ステント  ジョージタウン大学教授(政治学)

Putin's Power Play in Syria

Angela Stent アメリカのソビエト・ロシアの研究者で、ジョージタウン大学教授(政治学)。同大学のユーラシア、ロシア、東ヨーロッパ研究センター所長。ブルッキングス研究所シニアフェロー(非常勤)を兼務。最近の著書にThe Limits of Partnership: U.S. Russian Relations in the Twenty-first Centuryがある。

2016年1月号掲載論文

ロシアによるグルジアとウクライナでの戦争、そしてクリミアの編入は、「ポスト冷戦ヨーロッパの安全保障構造から自国が締め出されている現状」に対するモスクワなりの答えだった。一方、シリア紛争への介入は「中東におけるロシアの影響力を再生する」というより大きな目的を見据えた行動だった。シリアに介入したことで、ロシアはポスト・アサドのシリアでも影響力を行使できるだけでなく、地域プレイヤーたちに「アメリカとは違って、ロシアは民衆蜂起から中東の指導者と政府を守り、反政府勢力が権力を奪取しようとしても、政府を見捨てることはない」というメッセージを送ったことになる。すでに2015年後半には、エジプト、イスラエル、ヨルダン、クウェート、サウジアラビア、アラブ首長国連邦の指導者たちが相次いでモスクワを訪問している。・・・すでにサウジは100億ドルを、主にロシアの農業プロジェクトのために投資することを約束し、・・・イラクはイスラム国との戦いにロシアの力を借りるかもしれないと示唆している。・・・

  • 米主導の世界秩序を解体する
  • ロシアの対米協調の条件とは
  • ロシアの中東戦略
  • ロシアの目的とアメリカの対応

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