封じ込めではなく、
イスラム国の打倒と粉砕を
A Conversation with Hillary Clinton
2016年1月号掲載論文
結局のところ、米軍機やドローンによる攻撃を含む、われわれが利用できる全てのツールを用いて、テロの危険がある全ての地域で対策をとらなければならない。外国人戦士のイスラム国への流入と流出、テロ資金の流れを遮断し、サイバースペースでの闘いを試みることが、イスラム国との戦いには欠かせない。今後の脅威に対抗していく上でも、これらの試みが対策の基盤を提供することになるだろう。・・・われわれの目的をイスラム国の抑止や封じ込めではなく、彼らを打倒し、破壊することに据えなければならない。・・・「スンニ派の第2の覚醒」の基盤作りを試みる必要もある。・・・アサドがこれ以上民間人や反体制派を空爆で殺戮するのを阻止するために、飛行禁止空域も設定すべきだ。有志連合メンバー国が地上にいる反体制派を空から支援して安全地帯を形作れば、国内避難民もヨーロッパを目指すのでなく、国内に留まるようになる。・・・
- 封じ込めではなく、粉砕を
- 米軍地上軍を投入すべきか
- スンニ派の覚醒に向けた環境整備を
- 飛行禁止空域と外交的決着
- アラブ諸国とトルコ
- テロインフラを破壊するには
- テロに対する防衛の強化
- オバマ大統領との違い
<封じ込めではなく、粉砕を>
ヒラリー・クリントン われわれがどのような事態に直面しているかを明確に認識すべきだ。パリの同時多発テロだけではない。ナイジェリア、レバノン、トルコでもテロが起きている。(シナイ半島上空では)ロシアの民間旅客機の爆破テロも起きた。
そうしたテロの中枢に位置するのがイスラム国(ISIS)だ。彼らは宗教的、民族的マイノリティを迫害し、民間人を誘拐し、斬首し、子供さえも殺害している。女性や少女たちを奴隷にし、拷問にかけ、レイプしている。
イスラム国はイラクとシリアの支配地域、中東を越えたグローバルな関連組織を含む国際テロネットワーク空間、急進派ジハード主義のイデオロギー運動という、相互に支え合う三つの領域で活動している。われわれはこの三つの領域の全てで、彼らを追い詰め、打倒しなければならない。
大胆な野望を掲げるイスラム国は、奥行きと能力を備えた集団だ。われわれはこの集団の勢いを食い止め、背骨を折らなければならない。われわれの目的をイスラム国の抑止や封じ込めではなく、彼らを打倒し、破壊することに据える必要がある。
テロリストの指導者とネットワークを粉砕しても、脅威はいずれ復活する。長期的な戦いが必要になる。われわれは包括的な対テロ戦略、つまり、過激なジハード主義との闘いというより大きな枠組みのなかで、対イスラム国戦略を実施していくべきだろう。
目の前にいる敵との戦争だけでなく、根深いルーツをもつ彼らのイデオロギーとの闘いは長期的なものになり、容易には決着しない。
アメリカのパワーのあらゆる側面を動員し、この世界的な戦いを主導しなければならない。
われわれの戦略には次に指摘する三つの要素が必要になる。(1)シリアとイラクを中心とする中東地域でのイスラム国勢力の打倒。(2)テロリスト(のリクルート)、テロ資金、プロパガンダ領域での活動が必要とするテロインフラの破壊。そして(3)内外の脅威に対するアメリカと同盟諸国の防衛体制の強化だ。
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