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パリ同時多発テロとイスラム国
―― 次のターゲットは欧米かサウジか

スティーブン・クック/米外交問題評議会シニアフェロー // フリップ・ゴードン /米外交問題評議会シニアフェロー // ファラ・パンディッシュ /米外交問題評議会シニアフェロー // グレアム・ウッド/米外交問題評議会シニアフェロー

Terror in Paris and the Islamic State

Graeme Wood アトランティック誌のコントリビューティング・エディターで、現在は米外交問題評議会プレスフェロー。専門は中東、テロリズム、イスラム国など。// Philip Gordon 米外交問題評議会シニアフェロー。専門は国家安全保障政策、中東、ヨーロッパと欧州連合など。国務次官補(欧州・ユーラシア担当)、オバマ大統領の特別補佐官、ホワイトハウス調整官(中東・北アフリカ、湾岸担当)を経て現職。 //Farah Pandish 米外交問題評議会シニアフェロー(非常勤)。米国際開発庁、国家安全保障会議、ホワイトハウススタッフ、国務省特別代表(イスラム社会担当)などを経て現職。 //Steven Cook 米外交問題評議会シニアフェロー。専門は中東とアラブの政治。ブルッキングス研究所を経て現職。著書にThe Struggle for Egypt: From Nasser to Tahrir Square (Oxford University Press, Fall 2011)がある。

2015年12月号掲載掲載論文

今回のテロは、イスラム国をうまく特定地域内に封じ込めたことによって起きたと考えることもできる。われわれは領土を取り戻しつつあり、もはやイスラム国が支配地域を拡大する余地は残されていない。彼らは、テロを起こすことで「われわれが終わったわけではなく、別のやり方もできる」と言いたいのだと思う。(P・ゴードン)

考えるべきは、メッカとメジナを支配地域に組み込まずに、彼らが「イスラム国家」を自称できるかどうかだ。この意味で、私は、イスラム国は、(欧米世界ではなく)サウジを主要なテロのターゲットだとみなしていると思う。サウジもそのリスクを警戒している。(宗派対立の構図を作り出そうとするイスラム国系集団によって)、サウジのシーア派モスクは連日攻撃されている。(S・クック)

イスラム国による軍事的侵略と征服による領土拡大路線がうまくいっていない。・・・、この現実を前にイスラム国は路線を見直し、外国でのテロを(新規リクルートを通じた)勢力拡大のツールと位置づけたのかもしれない。(G・ウッド)

  • 戦略を見直したのか
  • 若者のリクルート
  • 次のターゲットは欧米かサウジか
  • アメリカの戦略は間違っているのか
  • イデオロギーの訴求力

<戦略を見直したのか>

リチャード・ハース まずグレアムから。なぜイスラム国はパリでテロを行ったのだろうか。これまで、イスラム国は現在の(イラクとシリアの)支配地域を中心にカリフ制国家の建設を目指していると考えられてきた。だが、この数週間でロシアの旅客機爆破テロ、ベイルートでの自爆テロ、そしてパリでの同時多発テロと地理的な活動範囲を見直しているようだ。たしかなことは言えないが、イスラム国は戦術、戦略を変化させているように思える。あなたはどうみているだろうか。

グレアム・ウッド 当初から、イスラム国はフランスでのテロを重視していた。彼らのプロパガンダビデオにはエッフェル塔やホワイトハウスが何度も映し出されている。イデオロギーは変えていないが、たしかに、戦略を大きく見直したように思える。現在、イスラム国には2000人のフランス人が参加していることも考えるべきだ。・・・

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