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誰がミャンマーを統治するのか
―― アウンサンスーチーと軍は歩み寄れるか

アーロン・L・コネリー
豪ローウィ国際政策研究所 リサーチフェロー

Who will Rule Myanmar?

Aaron L. Connelly 豪ローウィ国際政策研究所 東アジアプログラム・リサーチフェロー。専門は東南アジア、特にミャンマーとインドネシア、アメリカの東南アジアにおける役割など。

2015年12月号掲載論文

ミャンマーの選挙で改選されるのは上院・下院とも議席の75%だけで、残る25%は軍の指定席だ。憲法改正には議会の75%以上の賛成が必要とされるため、軍はみずからの権限縮小につながる改正を必ず阻止できる。さらに、軍最高司令官は国防相、内務相、国境相の任命権を持っている。アウンサンスーチーの選挙での勝利は、新生ミャンマーにおける今後5年あまりの権力分担をめぐる熾烈な争いの始まりにすぎない。この争いの過程で、スーチーと軍との関係も調整を迫られる。現憲法の改正を広く民衆に訴えようとすれば、彼女は再び自宅に軟禁され、ミャンマーは軍事政権に戻ってしまうだろう。今後5カ月でアウンサンスーチーと軍がどのように歩み寄るのか、そして新生ミャンマーにおける権力分担に合意できるかが、今後のミャンマーの進路を決定することになる。

  • 熾烈な争いの始まり
  • 大きな信託と制約
  • 奇妙なカップル
  • 軍との関係
  • 山積する課題

<熾烈な争いの始まり>

11月8日に実施されたミャンマーの総選挙は、5100万の有権者の大部分にとって、複数候補が議席を争う選挙で1票を投じた初めての経験だった。軍事政権の時代が終わり、(軍籍を離脱したテインセイン率いる)準文民政権への移行が実現して5年足らずだが、テインセイン政権のもとで矢継ぎ早に改革が進められた結果、改選される498のほぼ全議席をめぐって熱い選挙戦が繰り広げられるまでに政治は進化した。
西部の少数民族・ロヒンギャ族数十万人に選挙権が与えられなかったことなど、今回の選挙に問題がなかったとは言えない。それでも、軍を後ろ盾とするテインセイン率いる連邦団結発展党(USDP)、最大野党でノーベル平和賞受賞者アウンサンスーチー率いる国民民主連盟(NLD)、その他88の政党(多くは少数民族が基盤)のなかから、実際に有権者が誰に投票するかを選択できた意義は大きい。全国の投票所に派遣された選挙監視団の報告によると、上院・下院ともNLDが過半数を制する勢いだ(最終的に、NLDは上下院両院の過半数の議席を獲得して圧勝した)。・・・

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