ヨーロッパのハンガリー問題
―― ビクトル・オルバンという腐ったリンゴ
Europe's Hungary Problem―― Viktor Orban Flouts the Union
2015年11月号掲載論文
中国やロシア、あるいはトルコに準じた非自由主義的な国家をハンガリーに建設する」と発言するなど、ハンガリーのビクトル・オルバン首相はこれまでも欧州連合(EU)にとって困惑を禁じ得ない存在だった。彼はハンガリーの司法権の独立やメディアの多様性を攻撃し、選挙制度を操作し、一党独裁の強化を試みてきた。だが現在の難民危機におけるオルバンの冷淡で短絡的な対応からみて、もはや彼は「困惑を禁じ得ない」どころか人権と人間の尊厳を重視するEUの「名折れ」的な存在だ。疲れ果てた難民を路上に放置し、残りは汚い収容施設へ送り込んでいる。セルビアとの国境沿いに有刺鉄線のフェンスを設置し、これを不満として集まってきた難民たちには放水銃や催涙ガスさえ浴びせかけた。ヨーロッパの指導者たちは、一丸となってオルバンのレトリックと政策を糾弾しなければならない。そうできなければ、ヨーロッパの腐ったリンゴがますます増えていくことになる。
- 腐ったリンゴ破綻したヨーロッパの難民システム
- オルバンの勝利
- 腐ったリンゴをなくすには
<腐ったリンゴ>
腐った1個のリンゴが樽全体を台無しにするように、一人の野蛮な独裁者の存在によって民主的な政治連合のすべてが汚染されてしまうかもしれない。権力基盤を固めてますます権威主義志向を高めているハンガリーの首相、ビクトル・オルバンは、欧州連合(EU)を公然と批判し、嘲笑してきたが、それでも彼の態度が問題にされることはほとんどなかった。
この数年来、オルバンはEUにとって困惑を禁じ得ない存在だった。だが現在の難民危機におけるオルバンの冷淡で短絡的な対応からみて、もはや彼は「困惑を禁じ得ない」どころかEUの「名折れ」的な存在だ。・・・
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