CFR Interview
アジアインフラ投資銀行
―― 国際経済秩序への挑戦か協調か
A Bank Too Far ?
2015年5月号掲載論文
中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)は各国のインフラ改善を目的に掲げ、他の国際機関と協力していくと表明している。とはいえ、この構想は既存のグローバル金融機関における改革が進展しなかったことに対する中国の不満に根ざしている。この意味では、AIIBは、BRICS銀行とともに、既存の国際経済秩序に対する中国の挑戦とみなせる。一方、ヨーロッパ諸国がAIIBへの参加を決めたのは、その活動と既存の国際機関の活動との一体性を持たせるには、外にいるよりも参加して内側にいた方がよいと判断したからだ。ワシントンが次第にこの構想をめぐって孤立しつつあることは否定できない。理屈上はAIIBが世界銀行やアジア開発銀行と共同出資して投資プログラムを進めることもできるが、現実にどうなるかは分からない。現在のAIIBは勢いをもっているが、今後、融資基準の劣化、投資プロジェクトの選択ミスなどの問題に直面していくはずで、こうした問題を経験することなく、AIIBが拡大していくとは考えにくい。(聞き手はEleanor Albert , Online Writer and Editor)
- 既存秩序への挑戦
- なぜヨーロッパ諸国はAIIBに参加したのか
- AIIBは他の国際機関と協調できるか
<既存秩序への挑戦>
―― 中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の目的は何だろうか。
AIIBは2013年に中国政府が構想を発表した地域的な国際金融機関で、2014年10月に21カ国が設立の覚書に調印した。その目的は、参加国の道路、鉄道、港その他のインフラ建設プロジェクトをファイナンスしていくことにある。
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