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「中国・パキスタン経済回廊」は砂上の楼閣か

サイード・ファズルハイダー パキスタン・ダウン紙コラムニスト

A Strategic Seaport
―― Is Pakistan Key to China's Energy Supremacy?

Syed Fazl-e-Haider パキスタンのジャーナリスト。パキスタンdawn紙コラムニスト。著書にEconomic Development of Balochistanがある。

2015年4月号掲載論文

中国政府は、パキスタンのグワダル港経由で中東と中国を結ぶ、「中国・パキスタン経済回廊」を2030年までに完成させる計画をもっている。2014年には、456億ドルを投入して高速道路、鉄道、天然ガス・石油パイプラインを建設すると表明した。この経済回廊が完成すれば、重要な石油シーレーンがあるインド洋への影響力を強化し、海賊が出没することで知られるシーレーンの危険なチョークポイント、マラッカ海峡をバイパスできる。だが、グワダル港があるバロチスタン州の治安環境がどのようなものかを考える必要があるだろう。ここは過激派集団が活動する不安定な地域だ。州都クエッタには、指名手配されているタリバーンの指導者たちが潜伏しているし、この州の小さな都市の多くは、数十年続いている反政府・分離独立派の活動拠点だ。しかも、バロチスタンは、同様に不安定なイランのシスタン・バロチスタン州と国境を挟んで隣接している。・・・

  • エネルギー回廊
  • 治安上の大きな懸念

<エネルギー回廊>

パキスタン南西部の港が、中国のエネルギー戦略が成功するかどうかの鍵を握っているかもしれない。中国が建設したバロチスタン州のグワダル(Gwadar)港は、主要なオイルシーレーンであるホルムズ海峡の近くに位置し、パキスタンを経て中国西部とペルシャ湾岸をつなぐエネルギー回廊の重要な拠点になるかもしれない。

北京はパキスタンにかなり入れ込んできた。この構想は、パキスタンのパルヴェーズ・ムシャラフ大統領(当時)が、グダワルと新疆ウイグルのカシュガルをつなぐ鉄道と石油パイプラインの建設を提案した2008年に遡る。この回廊が完成すれば、中国は中東への最短ルートを利用できるようになり、一方、パキスタンも中国からの大規模な投資によって潤うことになる。

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