CFR Interview
小国の巨人
――リー・クアンユーの遺産
Lee's Lasting Legacy
web限定論文掲載論文
この半世紀をかけて、リー・クアンユーは「イギリスの後発的植民地」だったシンガポールを「産業・金融のパワーハウス」に変貌させ、世界的国家への道を切り開いた。外国投資への門戸を開き、英語をビジネスの標準言語にし、インフラへの集中投資を行った。教育に大きな投資をし、労働者のスキルレベルを引き上げ、文化にも力を入れた。クリーンな政治を実現し、優秀な官僚の育成にも努めた。だが一方で、彼は厳格な社会秩序と政治的自由の制限を市民たちに強要した。個人の利益よりも社会利益を優先するリー・クアンユーの啓蒙的権威主義によって、民主的自由はかなり抑え込まれてきた。近年では、未来志向の強い世界に繋がった新世代の有権者たちが誕生している。彼らはこれまでのようなパターナリズム(父権主義)に魅力を感じなくなっている。リー・クアンユーが残した成果に敬意を払いつつも、彼らは、より大きな透明性を求め、「自分たちは変化を望んでいる」とアピールしている。(聞き手はElenor Albert, Online writer/Editor)
- 「第3世界における第1世界のオアシス」
- なぜ急成長できたのか
- 今後の課題
<「第3世界における第1世界のオアシス」>
―― リー・クアンユーはシンガポールを経済のパワーハウスに変貌させる上で非常に重要な役割を担った指導者だ。彼は、シンガポールをどのような変化させ、何を残したと考えているか。
政治、経済、社会構造、そして国家的特質に至るまで、リー・クアンユーほどシンガポールの形成に大きな影響力を発揮した政治家はいない。
彼は、長期に及んだイギリスによる植民地支配そしてマレーシア連邦の時代を経て、1965年にシンガポールの独立を主導した「建国の父」であるばかりか、21年にわたってこの島国を首相として率いてきた。これは世界最長の首相在任期間だ。1990年に首相を退任した後も、(上級相その他として)20年間にわたってかなりの影響力を維持してきた。
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