中国経済はなぜ失速したか
―― 新常態を説明する二つの要因
China's Predictable Slowdown
2015年4月号掲載論文
中国経済の成長率鈍化を説明する要因は二つある。一つは出生率の低下、もう一つは都市への移住ペースの鈍化だ。たしかに、1970年代の出生率の低下は経済成長の追い風を作り出した。一人っ子政策で、扶養すべき子供が1人しかいない親たちはより多くの時間を労働に充てることができた。だが40年後の現在、いまや年老いた親たちは引退の年を迎えつつあり、しかも子供が親を支えていくのは不可能な状態にある。都市への移住ペースの鈍化も中国の経済成長率を抑え込んでいる。1980年当時は、総人口の5分の1を下回っていた中国の都市人口も、いまや全体の過半数を超え、しかも主要都市の空室率が上昇していることからみても、都市化はいまや上限に達している。要するに、中国の経済ブーム・高度成長の時代は終わったのだ。今後成長率はますます鈍化し、2020年代には中国の成長率は横ばいを辿るようになるだろう。
- 出生率低下の光と影
- 上限を迎えた都市化プロセス
<出生率低下の光と影>
見方次第では、中国はすでに世界最大の経済国家なのかもしれないが、このレベルまで中国経済を押し上げてきた成長率がいまや鈍化している。国際通貨金(IMF)によれば、2014年の中国のGDP(国内総生産)成長率は約7・4%と、1980年以降、最低の数字だった。IMFは中国の経済成長率は2019年までには6・3%に低下すると予測している。いつもは楽観的な中国政府さえも2015年の成長率を7%前後へと引き下げた。
こうした中国経済の失速には誰もが驚いたはずだ。2010年当時、中国の経済は10・5%の成長を続けていた。IMFは2011年10月の時点で同年の経済成長率を9・5%と推計し、1年後にはこの数値が正しかったことが確認されている。悲観的な予測をすることで知られるエコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)でさえ、少なくとも2016年までは、中国の経済成長は8%を超える水準で推移すると予測していた。・・・
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