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ウクライナを救うには
―― 武器支援ではなく、経済援助を

ラジャン・メノン ニューヨーク市立大学教授(政治学)、キンバリー・マルテン バーナード・カレッジ教授(政治学)

Facing a Fragile Ceasefire

Rajan Menon ニューヨーク市立大学教授(政治学)。専門はアメリカの外交、国家安全保障戦略。最近の共著にConflict in Ukraineがある。Kimberly Marten コロンビア大学・バーナードカレッジ教授(政治学)。コロンビア大学のハリマン・インスティチュートの副ディレクター。専門はロシアの外交、安全保障政策。

2015年3月号掲載論文

ウクライナ紛争をめぐる今回の停戦合意も、前回同様に破綻するかもしれない。そうなれば、オバマ政権はウクライナへの武器供与を求める、これまで以上に大きな圧力にさらされるだろう。すでに米政府高官の一部は、ウクライナへの武器支援を主張し始めている。だが、武器を提供すれば、ウクライナ東部の紛争は長期化し、アメリカの兵器が他の勢力へと流れる恐れもある。紛争の長期化でロシアを経済的にさらに追い込めると主張する人々もいる。だが、ウクライナ経済はロシア経済以上に深刻な状態にあり、破綻の瀬戸際にある。紛争の長期化が、経済崩壊に直面するウクライナを助けるだろうか。ロシアに懲罰を与えようと、武器を提供して紛争を長期化させ、結果的にウクライナを苦しめるとすれば、プーチンの仕事を彼に成り代わってするようなものだ。アメリカが武器を提供すれば、ウクライナを助けるのではなく、傷つけることになる。

  • ウクライナに武器を与えるべきか
  • 迷宮のように入り組んだ紛争地帯
  • 紛争の長期化はウクライナ経済を崩壊させる

<ウクライナに武器を与えるべきか>

2月12日、ウクライナ東部で続いている紛争の停戦合意がベラルーシで成立したが、今回の合意も、それに先立つ2014年9月の停戦合意同様に破綻するかもしれない。2月15日に合意が発効したとはいえ、激しい戦闘がデバルツェボなどの戦略的要地で続き、いまやこの都市は親ロシア派の武装集団が占拠している。停戦合意が明確に破綻すれば、オバマ政権はウクライナへの武器供与を求める、これまで以上に大きな圧力にさらされることになる。

ロシアへの編入を求めて、ドネツク共和国、ルハンスク共和国をすでに宣言し、ウクライナからの独立を求めている親ロシア派は、ロシアの兵器・部隊による支援のもと、戦闘を有利に進めている。正確な数字ははっきりしないが、ロシア軍部隊が戦闘に参加しているだけでなく、モスクワは親ロシア派に先端兵器さえ提供し始めている。

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