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スペインを席巻するポデモスの正体
―― 急進左派思想と現実主義の間

オマー・G・エンカーナシオン バード・カレッジ教授(政治学)

Can the Far-Left Sweep Spain?

Omar G. Encarnacion バード・カレッジ教授(政治学)。専門はヨーロッパの政治と社会。著書にThe Myth of Civil Society: Social Capital and Democratic Consolidation in Spain and Brazilがある。

2015年3月号掲載論文

反エスタブリッシュメント、反緊縮財政の立場をとるギリシャの急進左派連合と同じ主張をしているスペインの新党ポデモスが大きな注目を集めている。2014年11月の世論調査で、ポデモスが(これまでスペイン政治を支配してきた)保守派の国民党や中道左派の社会労働党を凌ぐ勢いをもっていることが明らかになったからだ。スペインがギリシャ経済の6倍、欧州連合内でも4番目に大きな経済をもっている以上、ポデモスはユーロ圏に対するさらに大きな脅威になると考える専門家もいる。たしかに、ポデモスはギリシャの急進左派連合だけでなく、ラテンアメリカで噴出した極左のポピュリスト運動、特にベネズエラのウゴ・チャベスが主導した「ボリバル革命」を想起させる。しかし、ポデモスが急進主義をとった時代は終わり、より現実主義的な組織に生まれ変わりつつある。幅広い階層からの支持を獲得できる包括政党を目指すにつれて、ポデモスは過激な主張を控え、現実主義路線へと向かっている。

  • ギリシャとスペイン
  • ポデモスの台頭とその政治戦術
  • ロシアの脅威とイギリスのEU脱退
  • スペイン経済とギリシャ経済
  • 既存政党との闘い
  • ポデモスの挑戦

<ギリシャとスペイン>
急進左派連合に勝利を授けた1月25日のギリシャの総選挙を経て、いまやスペインのポデモスが大きな注目を集めている。反エスタブリッシュメント、反緊縮財政の立場をとる急進左派連合と同じ主張をしているスペインの新党ポデモスも、近く総選挙を闘うことになる。

急進左派連合とのつながりは、1月30日にマドリードのプエルタ・デル・ソルで開かれたポデモスの大規模集会の様子からも明らかだろう。集会に参加した群衆の一部はギリシャの国旗を掲げ、急進左派連合の指導者でギリシャの首相に就任したアレクシス・チプラスとハイタッチを交わし、チプラスらの勝利を祝福した。
「変化のための行進」というスローガンを掲げたこの大規模デモを、メディアは「2015年の選挙シーズンの幕開け」と評した。次の総選挙が、フランコ時代が終わり、初めて自由選挙が実施された1977年以降、これまでにスペインが経験したことのないものになるのは間違いないだろう。

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