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CFR Interview
進化するか、日本の安全保障構造
―― イスラム国ショックと日本の進路

マイケル・オースリン アメリカン・エンタープライズ・インスティチュートレジデント・スカラー

Japan's Hard Power Play

Michael Auslin アメリカの歴史学者。イエール大学准教授を経て、現在は、アメリカン・エンタープライズ研究所のレジデント・スカラー。専門は日本の防衛政策と政治問題など。

2015年3月号掲載論文

日本国内では、中東への人道支援の提供程度であっても、(現地の)問題に関与すれば、その余波が生じると懸念する声があるし、その余波として日本人が人質にとられ、殺害されたと考える人もいる。これは長く議論されながらも、依然として明確な結論の出ていない「世界における日本の役割、日本の安全保障、日本はどこに行って、何をすべきなのか」という国家論争の一部として理解すべきだ。安全保障政策をめぐって日本は依然としてひどく分裂しているが、少なくとも、人質危機をきっかけに世界がますます危険な場所になっていること、そして危険を回避できないことをいまや人々は理解している。・・・アジア・太平洋地域の安全保障環境は不安定だし、世界は危険に満ちている。日本は、世界における日本の利益だけでなく、同盟諸国との協調を深化させるためにも、軍事構造の近代化を必要としている。人質危機が大きなターニングポイントになることはない。むしろ、それはすでに形成されつつあるトレンドと一体化していくと考えるべきだろう。・・・

  • イスラム国に「罪を償わせる」  <一部公開>
  • 体制変革、三つのシナリオ新安全保障路線と日米同盟

<イスラム国に「罪を償わせる」>
―― 安倍首相は、(日本人二人を人質にとり、殺害した)イスラム国に「罪を償わせる」と発言し、日本政府は開発協力大綱を見直し、相手国軍隊の非軍事領域での活動を援助することに道を開いた。この変化をどうみているだろうか。

そうした変化は、日本の防衛・軍事力を近代化し、ノーマライズしようとする安倍政権のより大きな試みの一部として理解すべきだ。安倍政権は、集団的自衛権を行使できないという解釈の見直しを進めており、これは、武器輸出の見直し、新しい同盟パートナーシップ、そして対テロ政策と密接に関連している。(開発協力大綱の見直しなど)最近の変化は、そうした政府の意向を映し出しているとみなせる。最近の日本の動きは、安倍首相のより大きな政策目的の文脈のなかで理解すべきだろう。

だが先の道のりは長い。日本の安全保障政策を見直すには、国会が(それを承認して)必要とされる法案を成立させる必要がある。

もちろん、実務面、能力面の問題もある。例えば、対テロミッションをこなせるような能力を整備しなければならない。対テロミッションをこなす能力をもっているのは世界の一握りの国で、現在の日本はそのような能力をもっていない。アメリカやイギリスの(対テロ)部隊は優れた能力をもっている。北朝鮮の脅威にさらされてきた韓国軍も人質救出作戦や特殊作戦型の能力をもっている。数千マイルの離れたポイントにいるかもしれない人質を救出するには、自衛隊はそれに必要な能力を身に付け、それを生かして活動できるようになる必要がある。現状では安倍首相は「期待」を述べているにすぎない。

―― 今回の人質危機で自衛隊の役割に関する日本社会における議論はどのように進化していくだろうか。・・・

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