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世界経済アップデート
―― 原油安、ドル全面高、量的緩和、
ロシア・ヨーロッパ経済

ルイス・アレクサンダー 元米財務省長官顧問、フィリップ・レグレイン 元欧州委員会委員長経済アドバイザー、マイケル・A・レビ 米外交問題評議会シニアフェロー (エネルギー・問題担当)、セバスチャン・マラビー 米外交問題評議会シニアフェロー (国際経済担当)

World Economic Update

Lewis Alexander 野村ホールディングス・アメリカ チーフエコノミスト。シティグループのチーフエコノミスト、ガイトナー米財務長官の顧問(2009―2011年)を経て、2011年9月から現職。Philippe Legrain ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス ヨーロッパ研究所シニアシフェロー。欧州委員会議長の経済アドバイザーを務めた。専門はヨーロッパの政治経済。Michael A. Levi 外交問題評議会シニア・フェロー(エネルギー・ 環境問題担当)。専門は気候変動問題、エネルギー、大量破壊兵器、米国土防衛、科学技術と外交など。Sebastian Mallaby 米外交問題評議会シニアフェロー(国際経済担当)。専門は国際金融、ヘッジファンド、金融政策など。前CFR地政経済学センター所長。

2015年3月号掲載論文

主要国のなかで経済が拡大しているのはアメリカだけで、他の主要国経済は停滞している。そして、アメリカ以外の国々は、低成長を穴埋めするために通貨安になることを望んでいる。ここで二つの問題が出てくる。一つは、米ドルがどこまで上昇するか。もう一つは、米ドルと関連して、アメリカが金融危機前に果たしていた「最初で最後の消費者」としての役割をどの程度まで果たせるかだ。(P・レグレイン)

アメリカが国内問題を優先し、為替問題を気に懸けていない環境では、G7はメンバー国が量的緩和策をとり通貨安になっても、これを問題にしなかった。アメリカ経済が好調であれば、このような公式があてはまる。・・・だが米ドルが急激に上昇し続けるようであれば、たんなる景気後退以上のことが起き、アメリカの(ドル高に対する許容的な)態度も大きく変化するかもしれない。但し、貿易と為替のメカニズムが大きく変化していることも認識しなければならない。・・・(L・アレクサンダー)

サウジが現在の路線を見直して減産に踏み切る可能性については、2016年以降に起きるかもしれない二つのシナリオを想定できる。一つはさらに原油価格が大幅に下落し、サウジが市場への介入を決断するというシナリオだ。これには歴史的先例がある。・・・もう一つはサウジのリーダーシップと政治的に派生する変化シナリオだ。(M・レビ)

  • 好調なアメリカ経済
  • 原油安と金融政策
  • ヨーロッパの量的緩和と政治的支持
  • ウクライナ危機とロシア・ヨーロッパ経済
  • ドル高をどこまで許容するか
  • ギリシャ債務危機

<好調なアメリカ経済>
セバスチャン・マラビー 最初にルイス(アレクサンダー)から。世界経済全般について、IMF(国際通貨基金)は最近2015年の成長見通しを少しばかり下方修正したが、依然として成長見通しは3・5%と高い。一方で、金融市場のボラティリティも非常に大きい。市場は非常に神経質になっているが、あなたは全般的に世界経済の現状をどう捉えているだろうか。世界経済は良い状況にあるのか、悪い状況にあるのか。

ルイス・アレクサンダー はっきりとしない状況にある。成長見通しについては、IMFが世界経済の成長率を下方修正しつつも、アメリカ経済の成長見通しを上方修正したことを付け加えたい。成長見通しの予測が上方修正されたのは主要国ではアメリカだけだ。これが現状における課題を物語っている。これは、アメリカの政策と他の主要国の政策が大きく乖離していくことを意味する。

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