対ロ経済制裁と日本のジレンマ
――制裁で変化するアジアのパワーバランス
Pointless PunishmentHow the Sanction on Russia will hurt Asia
2014年9月号掲載論文
ウクライナ危機がさらに深刻化すれば、ワシントンはモスクワに対する制裁措置をさらに強化するかもしれない。しかし、ロシアを孤立させるための経済制裁は、必要以上に大きなコストをヨーロッパだけでなく、アジアの同盟国にも強いることになる。そうした対ロシア関係のバランスの崩壊にもっとも苦しんでいるのが日本だ。ワシントンは、ウクライナ危機をきっかけにロシアと中国が関係を深めていくことを懸念している。しかし、そのような事態を避けたいのなら、インド、日本、ベトナムなどの中国を潜在的敵対国とみなしている諸国が、ロシアと良好な関係を育んでいけるように配慮すべきだ。いかなる尺度でみても、「弱体化した日本」と「強固な中ロ関係」という組み合わせが、アメリカにとって好ましいものになることはあり得ないのだから。
- ロシア制裁は同盟諸国を追い込む
- 中国と韓国の立場
- 日本のジレンマ
- 対ロ制裁とアジアのパワーバランス
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