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物質主義と社会的価値の崩壊
―― なぜ中国で宗教が急速に台頭しているか

ジョン・オズバーグ  ロチェスター大学助教

Can't Buy Me Love ―― China's New Rich and Its Crisis of Values

John Osburg  ロ チェ ス ター大学助教(人類学)。専門は現代の中国文化と社会。経済的繁栄が民衆の価値をどのように変化させたかを研究テーマにしている。近著にAnxious Wealth: Money and Morality Among China’s New Richがある。

2014年9月号掲載論文

1976年に毛沢東が死亡し、文化大革命が終わると、共産党は階級闘争と集団主義のイデオロギーを放棄し、その結果、中国社会に巨大なイデオロギー的空白が出現した。政府が反体制派を弾圧し、宗教団体を抑圧したこともあって、その後の急速な経済成長という環境のなかで、人々は信仰やイデオロギーよりも、現実主義、そして物質主義に浸りきった。だが豊かにはなったが、人々はどこか薄っぺらな時代のなかで絶え間ない不安にさらされている。いまや中国人の多くは自らの人生に意義や価値を見いだそうとし、キリスト教やチベット仏教に帰依する人も多い。問題は、共産党が物質的に快適な生活だけでなく意義のある生活を求める声に対応する準備ができていないことだ。環境危機や経済危機によって安定と成長を維持できなくなれば、共産党は、民衆を管理するのはもちろん、民衆にアピールする手段がほとんどないことに気付くことになる。

  • 物質主義に対する反動
  • 超富裕層と貧困層
  • 技術革新を育めるか
  • 社会道徳の衰退と宗教の台頭

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