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変化する中東の経済地図
―― 旧秩序の解体と新経済圏の誕生

マリナ・オッタウェイ ウッドロー・ウィルソン国際研究センター 上級研究員
デビッド・オッタウェイ ウッドロー・ウィルソン国際研究センター 上級研究員

How the Kurds Got Their Way
―― Economic Cooperation and the Middle East's New Borders

Marina Ottaway  メリカの中東研究者。アフリカ、中東の大学で教鞭をとった後、カーネギー国際平和財団の中東担当シニアアソシエートを長く務めた。現在は、ウッドロー・ウィルソン国際研究センターのシニアスカラー。
David Ottaway  アメリカのジャーナリスト。ワシントンポスト紙の記者として中東・アフリカ、南ヨーロッパを長年カバーし、その報道によって数多くの賞を受賞している。現在は、ウッドロー・ウィルソン国際研究センターのシニアスカラー。

2014年6月号掲載論文

アレッポからバグダッド、そしてベイルートにいたるまでの広範な中東地域で流血の惨事が続いている現状からみれば、サイクス・ピコ協定を基盤とする中東秩序の崩壊を予測したくもなる。武力衝突は国境を越えて広がり、シリアなど一部の国は崩壊に向かっている。しかし、通商・貿易という、国家関係を変貌させている別の流れが生じていることにも目を向けるべきだ。むしろ、暴力や国家分裂ではなく、石油と天然ガスを中心とする経済の相互利益によって、サイクス・ピコを基盤とする秩序は再編され、穏やかな幕引きへと向かうのかもしれない。このダイナミクスがもっともはっきり認められるのが、イラクのクルド地域とトルコの経済関係で、この展開は古い対立と国境線を克服した新たな経済圏が中東に誕生する可能性を示唆している。

  • 秩序解体の一方で進む経済交流
  • 揺るがされる中東秩序
  • クルド人地域とイラク政府の対立
  • クルド自治政府とトルコの経済交流
  • 解体する中央集権体制
  • 連邦制と自治と経済協力

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