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不平等という幻想 ―― なぜ富裕税は機能しないか

ウォジシェック・コップザック コロンビア大学教授 、アリソン・シュレージャー エコノミスト

The Inequality Illusion

Wojciech Kopczuk ワルシャワ大学を経て、アメリカに留学。現在はコロンビア大学の経済学教授。税制を研究テーマにしている。 Akkison Schrager コロンビア大学で博士号(経済学)取得後、現在はエコノミスト、ライターとしてロイターなどに寄稿している。専門はマクロ経済学と財政学。

2014年6月号掲載論文

いまや社会的不平等を問題視するのが、市民の鬱憤晴らしの新しいスタイルになり、裕福な家に生まれた人物は大きな資金を貯め込み、他の人々からみれば夢のような優雅な生活を送ると広く考えられている。たしかに、技術の進化やグローバル化などが一部の人に非常に大きな収入をもたらした結果、所得の不平等はさらに大きくなっている。だが、富の格差が拡大しているとみなす明確な証拠はない。それにも関わらず、エコノミストのトマス・ピケティは、富裕層を対象とする富裕税の導入を提言している。現状では、富の格差が広がっていたり、われわれが新しい金ぴか時代にいたりすることを示す証拠は乏しい。いつかそのような時代に遭遇するとしても、提案されているような富裕税の導入は、富の格差という病をますます深刻にするだけだろう。

  • 富裕税は間違っている
  • 所得格差と富の格差
  • 富の格差は本当に拡大しているか
  • 対応策はあるか

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