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欧州が対ロ制裁へ踏み込めない理由
―― ロシアとの経済関係か欧州安全保障か

トム・キーティング 金融・安全保障アナリスト

Bad Company

Tom Keatinge 投資バンカー(JPモルガン)を経て、現在は金融と安全保障アナリスト。

2014年6月号掲載論文

最終的に、ロシアに対する欧米の経済制裁は十分なものにはならないだろう。厄介なのは、ヨーロッパの指導者たちが直面しているのがロシアからのエネルギー供給の問題だけではないことだ。この20年にわたってロシアとの関係に多くを投資してきたヨーロッパの企業は、ロシアとの経済的つながりを失うことを心配している。政治指導者たちも、経済制裁を通じてプーチンの対外路線を変化させる必要があると感じつつも、「制裁によって自国が経済的やけどを負うのではないか」と心配している。こうして、ヨーロッパはロシアに対する経済制裁をめぐって分裂し、結局は消極的な態度に終始している。他に選択肢がない状況に陥らない限り、ヨーロッパの政治家たちは自国の企業と産業を守ることを優先するだろう。

  • ロシア経済の窮状
  • 身動きできないヨーロッパ

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