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ウクライナ危機とパイプライン
―― ヨーロッパの本当のエネルギーリスクとは  

ブレンダ・シャッファー
ジョージタウン大学客員研究員

Pipeline Problem

Brenda Shaffer ハイファ大学教授でジョージタウン大学ユーラシア・ロシア・東ヨーロッパセンター客員研究員、アゼルバイジャン外交アカデミー客員教授を兼務。専門はエネルギーと外交政策。ハーバード大学ケネディスクール・カスピ海研究プログラムリサーチディレクターを経て現職。

2014年4月号掲載論文

ウクライナ危機を前にしたヨーロッパ人の脳裏をよぎったのは、2009年の天然ガス供給の混乱だった。この年、ロシアがウクライナへの天然ガスの供給を停止したために、ヨーロッパ諸国への供給も混乱し、真冬に暖をとれない事態に陥った。すでにウクライナ危機からヨーロッパを守るために、アメリカからの液化天然ガス(LNG)輸出を急ぐべきだという声も耳にする。たしかに、短期的に供給が混乱する危険もあるが、長期的にみてより厄介なのは、ハブプライシングシステムの導入など、ヨーロッパのエネルギー政策が方向を違えており、しかも(天然ガス価格が高いために)石炭の消費が拡大していることだ。仮にアメリカからLNGを輸出しても、その価格は、ロシアの天然ガス価格の少なくとも2倍になる。ワシントンは、ヨーロッパへLNGを供給することの利益が明確になるまで、拙速にエネルギー輸出の決定を下すのは自重すべきだろう。

  • ヨーロッパのエネルギー問題 
  • 欧州の天然ガス市場とパイプライン政治
  • 市場原理という幻想
  • ウクライナにも問題がある

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