日中の政治対立と経済関係
―― 政治対立から経済関係を救い出せるか

リチャード・カッツ オリエンタル・エコノミスト・レポート誌編集長

Why Chinese-Japanese Economic Relations Are Improving

Richard Katz オリエンタル・エコノミスト・レポート誌編集長。30年以上にわたり日米関係をテーマに活動している。ワシントンポスト紙、ウォールストリート・ジャーナル紙、ニューヨークタイムズ紙などに日本に関するコメントを寄せており、「週刊 東洋経済」のスペシャル・コレスポンデントも務める。フォーリン・アフェアーズ誌に、「経済相互依存で日中紛争を抑え込めるか ――ナショナリズムかそれとも貿易か」(フォーリン・アフェアーズ・リポート2013年7月号掲載)、「アメリカは日本の『失われた10年』と同じ道をたどるのか ――日米のバブル崩壊を検証する」(2009年4月号掲載)を発表している。

2014年2月号掲載論文

中国は日本との政治対立から経済を切り離そうと試みている。2012年当時は、「日本が中国市場に依存していることを利用して、東京から領土上の妥協を引き出せる」と北京が考えていたことを思えば、これは中国側の大きな路線見直しだろう。中国が対日戦略を見直したのは、日本同様に中国も日本を必要としているという経済的現実を再認識したからだ。中国の輸出部門は日本からのパーツ輸入に依存しているし、省政府は、中国に進出している日本企業がもたらす雇用、投資、技術移転という恩恵を手放したくないと考えている。重要なのは、政治から経済を切り離す構想が北京でなく、日本の中国への直接投資(FDI)が減少していることを憂慮する中国のビジネスコミュニティ、そして省や地方レベルの政治指導者のイニシアティブで進められていることだ。政治対立が経済関係に影を落とすのを放置するのか、相互依存で日本との関係を包み込むのか。中国は分裂しているようだ。

  • 対立から経済関係を切り離す
  • 北京の強硬姿勢、地方政府の経済重視路線
  • 相互依存で関係を包み込めるか

<対立から経済関係を切り離す>

日本に対してどのような路線をとるべきかについて、中国は分裂しているようだ。東シナ海の尖閣諸島(中国名・釣魚島)問題を意識して防空識別圏(ADIZ)を新たに導入するなど、安全保障問題をめぐって中国は強硬路線をさらに強めている。だが、日本からのパーツ輸入から日本による投資にいたるまで、経済関係についてはますますハト派的になりつつある。要するに、中国は政治対立から経済を切り離そうと試み始めている。・・・

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