軋みだした中国の統治システム
―― 変化した社会に適応できる政治構造を
How China Is Ruled
2014年1月号掲載論文
中国は力強い経済、パワフルな軍隊をもっているかもしれないが、その統治システムは非常に脆い。いまや中国を統治するのは、毛沢東や鄧小平の時代と比べてはるかに難しくなっている。中国の指導者の権力は年を追うごとに弱くなり、中国社会は、経済や官僚組織同様に分裂し、多元化している。しかも、市民社会と民間が大きな力をもちつつある。問題は、政策決定に世論の立場を取り入れつつも、政治構造をそのままに放置していることだ。法の支配への強いコミットメントを示すだけでなく、社会紛争の解決に向けて、司法や立法などの政治制度への信頼性をもっと高める必要がある。優れた政府規制を整備し、より踏み込んだ情報公開を行い、もっと説明責任を果たす必要がある。そうしない限り、今後、中国は過去40数年に経験した以上の大きな政治的混乱に直面することになる。
- 改革が変化させた社会
- 変化した指導者の権限
- 江沢民と胡錦濤
- 分裂した社会と錯綜する利益
- 世論と民間の拡大するパワー
- 段階的な政治改革
<改革が変化させた社会>
中国は20世紀に三度の革命を経験している。最初は1911年の清朝の崩壊で、これによってこの国の伝統的な統治システムも消失した。その後、長期に及んだ抗争と混乱の時代を経て1949年には、毛沢東と共産党が内戦に勝利を収め、中華人民共和国の建国を宣言する。これが二度目の革命だった。毛沢東の暴力的で常軌を逸した権力の行使は、彼がこの世を去る1976年まで続いた。
そして、1977年の鄧小平の台頭とともに始まった第3の革命は今も続いており、これまでのところ、この革命はより前向きな結果を残している。鄧小平は、その後数十年にわたって続くかつてない改革に着手し、それまで隔離されてきた中国経済をグローバルなペースセッターへと変貌させた。このプロセスのなかで、数億の人々が貧困層から脱し、都市部への大規模な人口移動が起きた。鄧小平の革命は、その後も、江沢民、胡錦濤、習近平という後継者たちによって継承されてきた。・・・
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