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CFR Briefing
ミャンマーを脅かす宗教紛争

ジョシュア・クランジック 米外交問題評議会シニアフェロー(東南アジア担当)

The Threat to Myanmar’s Awakening

Joshua Kurlantzick 米外交問題評議会シニアフェロー(東南アジア担当)。カーネギー国際平和財団の研究員を経て現職。

2014年1月号掲載論文

ミャンマーの社会不安と社会暴力は、2013年の秋から冬にかけて劇的に悪化した。10月半ばに原因不明の爆破事件がヤンゴン、マンダレー、ミャンマー北東部など各地で相次いだ。11月に公表されたミャンマー警察の報告書によれば、ラカイン州出身者とみられる仏教徒グループが、ミャンマー各地のイスラム寺院(モスク)の爆破を計画していた。爆破事件やモスク爆破計画は、この国の深刻な社会不安を映し出している。民族・宗派対立を別にしても、改革が治安や生活レベルの改善に結びついていないという失望感が社会に蔓延している。こうした社会不安、社会不満を背景に深刻化する民族・宗教を軸とする対立は、改革を中断へと追い込み、開発に不可欠な投資を抑え込み、国境線を越えて周辺国へと飛び火し、地域的な緊張を高めつつある。・・・・

  • イスラム教徒に対する襲撃
  • 警戒する投資家
  • 警察力の確立と雇用創出プログラム

<イスラム教徒に対する襲撃>

ミャンマー社会はこれまでも長く排外主義感情と社会的緊張に覆われてきた。60年におよぶ過酷な軍政下でも、イスラム教徒に対する暴力事件が起きていたし、仏教の僧侶や指導者がこれを扇動したこともあった。民族武装集団による紛争、インド系および中国系住民をターゲットとする社会暴力にも悩まされてきた。

2年ほど前から、宗教と民族が複雑な絡み合いをみせるミャンマー西部のラカイン州(旧アラカン州)で、イスラム教徒に対する暴力が先鋭化し始めた。アラカン族の多くが、イスラム教徒であるロヒンギャ族を攻撃するようになったのだ。・・・

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