米政治の機能不全と米外交
――なぜ政府機関の閉鎖が米外交を危機にさらすか
How the Shutdown Weakens U.S. Foreign Policy
2013年10月掲載論文
- 政府機関閉鎖を世界はどう受け止めているか
- 漂流するアジア・リブランシング戦略
- 中東への穏当な関与
- 政治的機能不全が安全保障を脅かす
<政府機関閉鎖を世界はどう受け止めているか>
―― (医療保険改革をめぐる与野党の対立から暫定予算が議会を通過しなかったために)米政府機関は閉鎖に追い込まれている。この事態を世界はどうみているだろうか。
アメリカ政治は分裂しているというメッセージを送ったことになる。アメリカの政治モデルの魅力を低下させ、大国に求められる資質であるこの国の行動に関する予見可能性や信頼性についての疑問を高めてしまった。
――世界は状況をどう受け止めている、その意味合いは何だろうか。
空白のなかで、このような事態が起きたわけではない。多くの背景がある。一つはセクエスター(財政支出の一律削減)だ。これによってアメリカが適切な財的資源を持っているかどうかがいまや疑問視されている。アメリカの援助、米軍のプレゼンスに依存している諸国は、今後に不安を感じているはずだ。
特に中東を中心とする地域では、シリアで起きたこと、起きなかったことを考慮して、アメリカの行動には不確実性が伴うと考えられているだろう。
議会がシリアに対する軍事攻撃を承認するかどうかは、当初からはっきりしなかったが、アメリカにおける統治の中枢機関である議会が、米外交をめぐる大統領のパートナーであるとは確信することはもはやできなくなった。
同盟国はもっと独自路線をとるべきだと考えるようになり、敵対勢力そして将来の敵対勢力にはアメリカの指導者の発言と行動は一致しないというメッセージを送ったことになる
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