金融政策と財政政策の間
―― イギリスの失策から何を学ぶ
On Federal Reserve Policy
2013年8月号掲載論文
「バーナンキは金融緩和に向けてこれまですぐれた措置をとってきた。だがいまでは、われわれは非伝統的な金融政策からは可能な限り、手を引いていくという立場を示唆している。これは、(われわれ金融当局は十分に手を尽くしたのだから)依然として経済が停滞しているのは議会と大統領のせいだと言っているようなものだ。経済の停滞という現状は、財政当局(政府)に責任があり、いまや金融当局としては、長期的な金融の安定に配慮しなければならない。これがバーナンキの本音だろう」。(B・デロング)
「スペイン同様に、イギリスが自国の経済を袋小路に追い込んでしまったのは、中途半端な金融緩和をとり、一方で財政緊縮策をとってしまったからだ。現在、日本は、当時のイギリスとは全く逆のことをしている。日本銀行はついに、われわれが求めてきたような、大胆な量的緩和策をとり、経済は回復しつつある」。(A・ポーゼン)
- ベン・バーナンキの真意
- イギリスの失敗
- 中央銀行と政府のチキンゲーム
<ベン・バーナンキの真意>
ギデオン・ローズ ブラッドフォード・デロングはカリフォルニア大学バークレー校の教授で、(数多くのノーベル経済学賞受賞者、大統領経済諮問委員長を輩出していることで知られる)全米経済研究所のリサーチアソシエートも務めている。アダム・ポーゼンは、ピーターソン国際経済研究所所長で、最近まで、イングランド銀行の金融政策委員会の外部委員を務めた。
二人とも、最新号のフォーリン・アフェアーズですばらしい分析を示してくれた。ブラッドは、金融危機の歴史を分析したアラン・ブラインダーの『音楽が止んだ後で』を書評に取り上げ、アダムは、中央銀行のバンカーたちがどのように金融危機に対処してきたかをテーマとするニール・アーウィンの『錬金術師』の書評を書いてくれた。
二人とも、当代一流のコメンテーター、エコノミストであるだけでなく、経済政策、金融政策領域で何が起きているか、そのミステリーとマジックについて、きわめて知的に分析できるエコノミストだ。
最初にアダムから。(最近年内に資産買い入れの縮小に着手する見通しを示した)バーナンキFRB(連邦準備制度理事会)議長と連邦準備制度理事会のメンバーたちは、一連の発言で何を伝えようと試みているのだろうか。その理由についてもコメントしてもらえるだろうか。
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