軍事国家イスラエルの政治・社会構造
―― なぜ外交よりも、軍事行動が優先されるのか
Israel’s Warlords
2013年4月号掲載論文
なぜイスラエルは外交で地域環境を整備できないのか。最大の要因は、イスラエル軍が政策決定に非常に大きな影響力をもち、そして市民も依然として軍を頼みとしているからだ。国家安全保障領域での内閣の権限は弱い。「まともなスタッフの支援も期待できず、結局は安全保障政策の立案を軍部に頼らざるを得ない」からだ。この領域での政策を実行するには、必然的に軍部、とくに事実上の国のシンクタンクとみなされる軍参謀本部を関与させざるを得ない。こうして「イスラエルの政治指導者には、国家の必要性の全てを見据えた選択肢ではなく、軍による限られた選択肢しか提示されなくなる」。しかも、軍の政治的、社会的影響力が、近い将来弱まっていくとは考えにくい。イスラエル政府が政策を正当化するには軍の威信が必要だし、国論をわける論争の場合には、軍の威信がますます重要になるからだ。
- 要塞国家イスラエル
- なぜ外交路線を模索しないのか
- 文民政府の力を強化する道はあるか
- 変わらない軍の影響力
<要塞国家イスラエル>
2012年11月14日の昼過ぎ、ガザ上空をホバリングしていたイスラエル軍のドローンが標的に照準を定めた。精密誘導ミサイルによる攻撃でハマス軍事部門のトップ、アハメド・ジャバリが乗る車は破壊され、ジャバリと車の同乗者は殺害された。・・・
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