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Foreign Affairs Update
イスラエルによるシリア空爆の本当の意味合い

イタマル・ラビノビッチ
元駐米イスラエル大使

Israel Steps Into Syria

Itamar Rabinovich イスラエルの政治家で、駐米イスラエル大使(1993―1996年)を務め、この間にイスラエル側の首席交渉人としてシリアとの交渉を担当した。その後、テルアビブ大学の学長となり、現在はハーバード大学、ブルッキングス研究所の客員教授、非常勤特別フェロー。中東政治の専門家で、アラブ・イスラエル関係、シリア政治、アメリカとイスラエルの関係を研究テーマにしている。

2013年3月号掲載論文

イスラエルは、アサド政権が倒れた後に、イスラム主義政権、それもジハード主義政権がシリアに誕生することを警戒している。政権崩壊によってシリアが混沌とした状況に陥れば、ジハーディストがゴラン高原からイスラエルに対してテロ攻撃を試みるかもしれない。あるいは、イスラム主義政権がシリアの化学兵器や生物兵器をヒズボラに与えるか、そうした兵器を過激派勢力が混乱に乗じて手に入れる危険もある。さらには追い込まれたアサド政権が、道連れとばかりに、イスラエルに向かってミサイルを発射するリスクもある。より全般的には、イスラエルは、アサド政権とその同盟勢力がシリア内戦をイスラエルとの戦争、アラブ・イスラエル紛争へと変貌させることを警戒している。エルサレムは公的な声明を通じて、どのような事態になれば介入に踏み切るか、イスラエルにとって看過できないレッドラインを明確に示してきた。最先端の兵器システムがヒズボラの手に落ちることもレッドラインの一つだった。今回のイスラエルによるシリア空爆は、この文脈で理解されるべきだ。問題は、空爆によって抑止力が形成されたかどうかが、はっきりしないことだ。

  • シリア内戦とイスラエルの立場 
  • イスラエルが恐れるシナリオ

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