サイバー戦争の虚構と現実

ブランドン・バレリアーノ
グラスゴー大学講師
ライアン・マネス
イリノイ大学PHDキャンディデート

The Fog of Cyber War

2013年1月号掲載論文

イランのウラン濃縮施設をシャットダウンに追い込んだ「スタックスネット」、テキストやオーディオデータをコピーした上で、ハッキングしたコンピュータ上のすべてのファイルを消し去る「フレーム」。これら洗練されたサイバー兵器の登場で、いずれ、電力供給網、交通システム、金融市場に加えて、政府そのものが脅威にさらされるようになり、今後の国家間関係、外交関係そのものが塗り替えられていくのだろうか。そうなるかどうかは、現状におけるサイバー戦争の抑止と自制のメカニズムが維持されるか、それとも崩れるかに左右される。現状では、いかなる国もまともなサイバーディフェンスを築けておらず、攻撃する側も、もし反撃されたらどうなるかを考えざるを得ず、これが抑止と自制を促している。サイバー戦争が脅威となるのは、それがひどく乱用され、多発するようになった場合、あるいは、サイバー空間の脅威対策に多くの資金がつぎ込まれ、本当の脅威への対応が手薄になった場合だろう。

  • サイバー戦争の幻想
  • 国家間サイバー戦争の実体
  • 抑止と自制
  • サイバー戦争と国際ルール

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