ヨーロッパの迷走
――ユーロ危機で遠のく統合の進展
European Foreign Policy and the Euro Crisis
2013年1月号掲載論文
アンゲラ・メルケル首相率いるドイツは、周辺国を支援するには、財政同盟を立ち上げ、政治的統合を深化させる必要があるという立場を明確に示している。一方、国家主権を重視するフランスは政府間交渉によるアプローチに依然としてこだわっている。いまやユーロ危機対応の中枢にあるのは、「ヨーロッパの統合を深化させるかどうか」に関する論争だ。だが、専門家の多くは、ヨーロッパでナショナリズムが高まっている以上、欧州の指導者たちが統合の深化に合意できるとはみていない。仮に財政同盟に必要とされる経済・政治統合を深化させれば、集団的な安全保障政策の基盤も作る必要が出てくる。だが現実には、ヨーロッパの政策決定者が目の前にあるユーロ危機の対応に追われているために、シリア内戦など、全ヨーロッパ的な対応を必要とする外交懸案も放置されたままだ。外交専門家のウォルター・ラッセル・ミードは、すでにユーロ危機はヨーロッパの「経済だけでなく、地政学的重要性」も危機にさらしていると指摘し、CFRのC・クプチャンも、ヨーロッパはうまくいっても、穏当な能力をもつ地域的なプレイヤーにとどまり、下手をすると、地政学的なプレイヤーとしては忘れさられていく運命にあると指摘している。
- 共通の外交・安全保障政策か
- 統合への独仏のアプローチ
- ナショナリズムの台頭
- 外交的足並みの乱れ
- 緊縮財政下の共通安全保障政策
- ヨーロッパの外交政策の未来
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