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銀行に規律を与えるには
――LIBORスキャンダルの三つの問題

ジョナサン・メイシー
エール大学法学部教授
(会社法、企業財務、証券取引法専攻)

Three Scandal in One

2012年9月号掲載論文

日米欧の政府は、LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)の金利操作疑惑をめぐって大手銀行16行を調査している。一部の大手銀行は金利の不正操作を行うことで、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)、デリバティブ、住宅ローンなどの金融商品の実勢価値を故意に歪め、不当な利益を得たと考えられている。今回のLIBORスキャンダルは三つの問題が重なり合っている。第1は、銀行がLIBORレートを故意に低く報告したこと。第2は、運用利益を水増しするためにLIBORを不正操作したこと。そして第3は、住宅ローンの変動金利を決める際に、米国債のほうが指標基準として望ましく、また採用にあたって何も障害がなかったにもかかわらず、LIBORを採用したことだ。さらにひどいことに、一部の銀行は自行の取引ポートフォリオで不当に利益を得るため、あるいは、損失を隠蔽するためにLIBORを不正操作したようだ。だが変動金利の根幹を成す原理は「借り入れコストの決定を市場の判断に委ねること」だ。銀行が市場の信頼を回復するにはLIBORを金利指標として使用するのをやめ、米国債金利など、市場の実勢レートを金利指標として採用するべきだろう。

  • ロンドン銀行間取引金利とは何か
  • 変動金利の本質とLIBORの特異性
  • なぜ銀行は不正操作をしたがるのか
  • メールに残された不正操作の証拠

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