シリア内戦と近隣諸国の立場
――バッシャール後のシリアは国の統合を維持できるか
Challenges for Syria's Neighbors
2012年08月掲載論文
アサド体制の命運はすでに尽きている。いまや最大の疑問は、今後、どのような政府がシリアに登場するかだ。ポスト・アサドのシリアが統合を維持できなければ、イランが介入してくるのは避けられない。一方、イランとは違って、トルコもイラクも、シリアが解体していけば、自国社会、特にシリアとの国境を接する地域に大きな余波がおよぶことになると懸念している。トルコはアラウィ派の国家内国家が出現することを嫌がっている。イラクがもっとも警戒しているのは、シリアがイラク政府を攻撃するスンニ派過激勢力の拠点と化してしまうことだ。そして、イスラエルはシリアが保有する化学兵器のこと、特に、化学兵器をヒズボラが手に入れることを警戒している。・・・シリアのダイナミクスを規定しているのは、シリア人、トルコ、サウジ、カタール、そしておらくはイラクだ。アメリカの役割は周辺的なものでしかないし、ヨーロッパはアメリカの前に出て影響力を行使するつもりはない。
- 宗派紛争か、それとも抑圧解放戦争か
- 分断国家の誕生と近隣国の思惑
- イスラエル、ロシア、欧米の立場
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