マフィア国家の台頭
―― 融合する政府と犯罪組織
Mafia States
2012年7月号掲載論文
もっとも多くの利益をもたらす違法行為に手を染めているのは、犯罪のプロだけではない。いまや政府高官、政治家、情報機関や警察のトップ、軍人、そして極端なケースでは国家元首やその家族たちも違法活動に関わっている。世界各地で、犯罪者がこれまでにないレベルで政府に食い込み始める一方で、パワフルな犯罪組織を取り締まるどころか、政府が犯罪組織に代わって違法活動を行っている国もある。こうして犯罪組織と政府が融合した「マフィア国家」が誕生している。実際、ブルガリア、ギニアビサウ、モンテネグロ、ミャンマー(ビルマ)、ウクライナ、ベネズエラなどでは、国益と犯罪組織の利益が結びついてしまっている。犯罪組織が最初に狙うのは、腐敗した政治システムだ。中国とロシアは言うまでもなく、アフリカや東ヨーロッパ、そしてラテンアメリカ諸国の犯罪者たちは、従来の犯罪組織では考えられなかったような政治的影響力を手にしている。もちろん、政府そのものが犯罪行為を行う北朝鮮のような国もある。
- 政府なのか犯罪組織なのか
- いまや犯罪組織は大企業並の影響力をもっている
- 「マフィアが国を支配している」
- 対策はあるのか
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