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「ブラジル経済の奇跡」の終わり
―― 社会保障か経済成長か

ルチール・シャルマ モルガン・スタンレー投資管理 マネージングディレクター

Bearish on Brazil ――The Commodity Slowdown and the End of the Magic Moment

Ruchir Sharma モルガン・スタンレー投資管理のマネージングディレクターで、新興市場およびグローバル・マクロ分析部門の責任者。このエッセイーは新著Breakout Nations:In Pursuit of the Next Economic Miraclesの抜粋・要約

2012年6月号掲載論文

ブラジル経済の成長軌道は、国内の石油、銅、鉄鉱石など、市場の資源需要の拡大軌道とほぼ重なりあっている。問題は、中国経済の減速によって、これらの原材料に対する世界需要が減少し始めていることだ。新興市場諸国が簡単に成長できた時代、原材料価格の高騰が支えた経済成長の時代、そして社会保障を優先してもブラジルがかろうじて4%の成長を実現できた時代は終わろうとしている。経済の停滞を回避するために、リスクをとり、経済を開放し、社会的安定と経済拡大のバランスをとる方法をブラジルが見つけださない限り、未来は切り開けない。改革に失敗し、原材料輸出主導路線に固執すれば、いずれ、ブラジルの経済成長も社会的安定も損なわれていく。

  • ブラジル経済の実像
  • コモディティ需要とブラジルの経済成長
  • 福祉国家とインフレ
  • 社会保障と経済成長のバランス
  • 改革か失速か

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