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Foreign Affairs Update
アサド体制を支えるアラウィ派のジレンマ

レオン・ゴールドスミス オタゴ大学リサーチャー(中東研究)

Alawites for Assad

2012年6月号掲載論文

シリアでの紛争が長期化するにつれて、一部のアラウィ派が政府に背を向け始めている兆候もある。だが、彼らのほとんどは依然としてアサド体制を守ろうと戦いを続けている。現体制によるこれまで、そして現在の残虐行為の報復として、いずれスンニ派の報復がバッシャール・アサドだけでなく、アラウィ派にも向けられることを恐れているからだ。こうした危機感に根ざすアラウィ派の体制への忠誠は歴史的なルーツをもっている。アラウィ派コミュニティは、歴史的にスンニ派による差別と殺りくの対象にされてきた。だが、バッシャール・アサド現大統領の父でアラウィ派のハフェズ・アサドが1970年に権力を掌握したことで流れは変化する。権力者であるハフェズはスンニ派の反乱を抑えるために過酷な弾圧策をとった。この段階でアラウィ派は犠牲者から加害者になった。・・・そして今、アラウィ派は実存的ジレンマに直面している。バッシャール・アサド政権が崩壊すれば、アラウィ派はかくも長期にわたって体制を支えてきたことの責任を問われる。一方でアサド体制に固執すれば、容赦のないスンニ派による報復のリスクを高めてしまう。・・・

  • アラウィ派のジレンマ
  • 犠牲者から加害者へ
  • アラウィ派のジレンマ

<アラウィ派のジレンマ>

シリアで民衆蜂起が起きて以降、アラウィ派はバッシャール・アサド政権を支える上で大きな役割を果たしてきた。シーア派の宗派の一つとみなせるアラウィ派の国内人口に占める比率は13%。だが、シリアの軍隊、情報サービス、シャビハという名称の体制に忠実な武装組織の多くはアラウィ派で構成されている。

たしかに、シリアでの紛争が長期化するにつれて、一部のアラウィ派が政府に背を向け始めている兆候もある。だが、彼らのほとんどは依然としてアサド体制を守ろうと戦い続けている。その理由は、現体制によるこれまで、そして現在の残虐行為の報復として、いずれスンニ派の報復がバッシャール・アサドだけでなく、アラウィ派にも向けられることを恐れているからだ。こうした危機感に根ざすアラウィ派の体制への忠誠は歴史的なルーツをもっている。

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