国際通貨システムの未来
―― 再現されるのは1930年代か1970年代か
When Currencies Collapse
2012年2月号掲載論文
米欧経済がともに深刻な危機に直面しているために、ドルとユーロへの信任が揺らぎ始め、国際通貨システムそのものが動揺し始めている。1930年代の国際通貨システムの崩壊は、経済活動を抑え込み、政治的過激主義を台頭させて、世界を壊滅的な事態へと導いた。対象的に1970年代のブレトンウッズ体制の崩壊はグローバル経済にダメージを強いたが、致命傷を与えることはなかった。金、小国の通貨、人民元、SDRと、現状におけるドルやユーロの代替策はどれも問題があり、結局、現在の国際取引を支えられるのはドルとユーロだけだ。しかし、この二つの通貨の安定に対する懸念がさらに高まり、各国の中央銀行が保有するドルとユーロを手放していけばどうなるだろうか。1930年代に外貨準備を清算したときと同様に、資本規制策をとって資本の流れを制限するしかなくなる。1930年代、1970年代、われわれは今後どちらのシナリオを目にすることになるのか。グローバル経済の運命は生死の縁をさまよっている。
- 準備通貨保有国の衰退と国際通貨システム
- 1930年代――金本位制からの離脱
- 代替通貨の模索から資本規制策へ
- ブレトンウッズ体制の誕生と危機
- ブレトンウッズの穏やかな崩壊
- 二つの制度崩壊の余波はなぜ大きく違っていたか
- 金、SDR、スイス・フランへのシフト?
- 国際決済通貨としての人民元
- 準備通貨としての人民元?
- 新たな準備資産?
- 今後再現されるのは1930年代か1970年代か
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