CFRブリーフィング
2012年の世界経済を左右する五つのトレンズ
―― 鍵を握るのは米欧の政治
Five Economic Trends to Watch in 2012
2012年1月号掲載論文
ユーロゾーンの安定がさらに損なわれていけば、ユーロ圏は分裂し、その経済はマイナス成長に陥り、それが米経済の不安定な回復をさらに揺るがす。新興市場経済も、(米欧を中心とする)世界経済の需要の低下という逆風にさらされ、成長率は減速する。(M・スペンス)
将来の歴史家は2012年を中国経済の成長率が鈍化し始めた年として回顧することになるだろう。(ユコン・ファン)
いずれ、イタリアなどユーロ周辺国の経済のファンダメンタルズが注目されるようになる。そうなれば、投資家は、安全性は高いが、インフレを考慮するとマイナスになりかねないドイツ国債を見捨てて、高金利のイタリア国債、しかもかつてほどはリスクの高くないイタリア国債に関心を示し出すようになるだろう。(Y・キルケガード)
ワシントンは、政治的膠着状態によって、予算が認められず、重要な政府機能を果たせなくなってしまう恐れがある。アメリカは政策的不確実性の時代に足を踏み入れつつあり、どちらかの政党が明確な政治的勝利と優位を手にしない限り、この事態は今後も続くだろう。(G・バートレス)
- グローバル経済のボラティリティ/マイケル・スペンス
- 逆風にさらされる中国経済/ユコン・ファン
- AAAアセットの不足とリスクテイキング/トーマス・フィリポン、アシュレー・レスター
- リスクか金利かの評価バランスが変化する/ヤコブ・キルケガード
- 政治の分裂とアメリカ経済の停滞/ゲリー・バートレス
<グローバル経済のボラティリティ>
2012年の世界経済の主要なトレンドはボラティリティ(変動と不安定)という言葉で表現できる。極端に大きなマクロ経済上のリスクがヨーロッパに存在し、二つのリスクシナリオが描ける。
第1のシナリオは、ヨーロッパ主要国がソブリン債務危機を安定化させることに成功することだ。欧州中央銀行(ECB)の直接介入による支援をバックに、イタリアが改革を成功させ、国債の長期金利の上昇によって財政、成長面での課題が管理不能に陥るのを回避すれば、(債務危機安定化の見込みが出てくる)。・・・
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